生活習慣病全般

生活習慣病とは

生活習慣病とは高血圧、糖尿病、脂質異常症などの、中年以降の方に多く見られる、生活習慣を起因とする疾患のことを「生活習慣病」と呼びます。かつては「成人病」と言われていました。
食事、睡眠、運動、そして喫煙・飲酒などの生活習慣が主な原因ですので、必ずしも成人の方がなるものではありません。近年では、成人以前の方の生活習慣病も問題となっています。

高血圧

高血圧とは

心臓がポンプの役割を果たし、血液は前進に運ばれています。その際、血流が血管にかける圧力のことを「血圧」と呼んでいます。
心臓の収縮により血管に大きな圧力がかかっている瞬間の血圧を「収縮期血圧」、心臓の拡張により血管への圧力が小さくなった瞬間の血圧を「拡張期血圧」です。これらがある一定の基準を超えたとき「高血圧」と診断されます。

高血圧を放置していると

高血圧のまま放置していると、血管が狭く、弾力が失われた状態(動脈硬化)が進行します。ここに血の塊が詰まったときには、「狭心症」や「心筋梗塞」に陥ります。
また、同じことが脳で起こった場合には「脳梗塞」、血管が破れて出血した場合には「脳出血」となり、最悪の場合には死に至ります。併せて、脳卒中のリスクも高まります。
高血圧は、常に血管に負荷をかけている状態です。心臓や脳、そして命に対する大きな影響力を持っていますので、血圧が高めと診断された方は早めの治療をお勧めします。

高血圧の治療

塩分、脂質をコントロールした食事改善に取り組んでいただきます。また、当然ですが喫煙やアルコール摂取も控えていただくに越したことはありません。
これらに併せて適度な運動を行っていただくと、多くの場合において血圧の改善が見られます。
不十分である場合には、血圧をさげるお薬を処方することになりますが、お薬を服用しながらも、上記の生活習慣改善は継続していただきます。

糖尿病

糖尿病とは

私たちが食事をすると、体内では摂取した糖質がブドウ糖に分解され、血液によって身体中を巡ります。同時に、インスリンと呼ばれるホルモンがすい臓から分泌され、ブドウ糖の吸収が促進されます。
このとき、何らかの原因によりインスリンの働きが不十分であったり、量が少なかったりすると、ブドウ糖がうまく吸収されずに血液中に留まり続けます。高血糖状態が続くこの状態を、「糖尿病」と呼びます。
糖尿病の特徴として、いくつかの種類があり治療法も異なること、恐ろしい合併症を多く持つことなどが挙げられます。

糖尿病の種類

1型糖尿病

自己免疫の異常によりすい臓の細胞が傷つき、インスリンの分泌量が減少したために起こる糖尿病です。
幼い子供に起こることが多く、小児糖尿病とも呼ばれます。

2型糖尿病

生活習慣の乱れを主な原因とし、インスリンの働きが不十分となって起こる糖尿病です。日本では、糖尿病患者のほとんどがこの2型糖尿病に分類されます。

その他の糖尿病

稀ではありますが、遺伝子異常、肝臓・すい臓の疾患、他の治療において使用したお薬などにより糖尿病になることがあります。

糖尿病の合併症

糖尿病の恐ろしさの一つに、合併症の多さが挙げられます。
糖尿病の三大合併症「神経障害」「網膜症」「腎症」は、どれも糖尿病と診断されて10年以上経ってから発症することがあります。

糖尿病性神経障害

比較的早期に発症することが多い合併症です。
手足の痺れ、感覚の麻痺などの障害を起こします。筋肉に力を入れられない、胃腸の不調、めまい、発汗異常、EDなどの症状も報告されています。

糖尿病性網膜症

目の網膜の血管の障害で、視力の低下を招き、最悪の場合には失明に至ります。
定期的に視力検査を受け、症状をコントロールしていくことが大切です。また、糖尿病は白内障のリスクも高めると言われています。

糖尿病性腎症

腎臓の毛細血管に障害が起こり、尿を生成する機能が低下します。体内の毒素の排出が困難となるため、週に2、3度の人工透析が必要となり、仕事や家事への多大なる弊害が生じます。

糖尿病の治療

糖尿病の治療において大切なのは、食事習慣と運動習慣の改善です。生活習慣病の治療全般に言えることですが、栄養バランスの整った食事摂取と適度な運動の継続は、自然と睡眠の質の向上へとつながります。まずは食事と運動の改善を考えることで、治療に取り組みやすくなるかと思われます。
上記した内容に加え、喫煙やアルコール摂取を控えれば、血糖値はさらにコントロールしやすくなります。
効果が表れにくい場合には、インスリン注射などのお薬を使用して治療を進めます。合併症のリスクをはらむ糖尿病は、少しでも早く治療を開始することが重要です。

脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症とは

脂質異常症とは「コレステロール」や「中性脂肪」といった単語はきいたことがあっても、「脂質異常症」ときくとピンとこない方も多いのではないでしょうか。
脂質異常症は、血液中のコレステロール、もしくは中性脂肪の量が一定の基準を越えている状態のことを指します。
脂質異常症自体には、自覚症状はありません。太っていたり、コレステロールや中性脂肪の値が高いけれど身体の調子は悪くない、という方も注意が必要です。
気づかないうちに、血液がドロドロになり、動脈硬化が進行します。心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まります。

脂質異常症を放置していると

脂質異常症を放置していると、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中など、命にかかわる病気のリスクが高まります。また、すい炎の原因になることもあります。
一つの病気から他の病気を連鎖的に発生させることが多いのが生活習慣病です。重度にまで進行すると、患者様ご本人の身体的・精神的負担は大きなものとなり、それはご家族へのご負担にも直結します。
脂質異常症には、自覚症状がありません。まずは健康診断、そして年齢とお身体の状態に合わせた生活習慣の改善を1日でも早く開始しましょう。

脂質異常症の治療

食事療法と運動療法を中心とした治療を進めます。
コレステロールが多い食品・食材を避け、ビタミンを意識して摂取していただきます。それらを食べるときの「食べ方改善」も重要です。よく噛み、ある程度の時間をかけてお食事をしてください。アルコールは適度であれば問題はありませんが、飲みすぎは中性脂肪を増やしてしまいます。
当クリニックでは患者様に合わせた、無理のない食事療法、運動療法のご提案を行っております。まずはお気軽にご相談ください。

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームとは

太っている人は、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)のリスクが高い傾向にあります。
男性なら85センチ以上、女性なら90センチ以上のウエストサイズであり、各生活習慣病における重要な値(脂質、血圧、血糖値)の内の2項目で一定以上を示している状態を、メタボリックシンドロームと呼びます。
メタボリックシンドロームはつまり、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病のリスクを多く保有していることになります。

メタボリックシンドロームを放置していると

メタボリックシンドロームは、動脈硬化の進行を加速させます。心筋梗塞や脳梗塞など、命にかかわる疾患のリスクが高まります。
また当然ながら、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病にも注意しなければなりません。

メタボリックシンドロームの治療

メタボリックシンドロームの治療において、最重要なのが、食事改善です。併せて行う運動療法との兼ね合いもありますが、基本的にこれまでより食べる量を減らす必要があります。その上で、脂質、糖質、塩分を控えたバランスの良い食事を摂ります。
また運動療法においては、体重過多であったり運動不足である方がいきなり激しい運動をするのは厳禁です。怪我はもちろん、心臓への負担も大きくなりますので、まずはウォーキングなどの負担の軽いものから始めましょう。これは、かつてスポーツマンだった、という方でも同様です。
喫煙やアルコール摂取も、できるだけ控えましょう。

禁煙外来

禁煙外来やめたいのに、なかなかやめられないタバコ。
当クリニックでは、禁煙をご希望の方に向けて、禁煙外来を開設しております。
飲み薬による「チャンピックス」、身体に貼るタイプの「ニコチンパッチ」と、患者様に合わせて使い分けられる2種類をご用意しております。(これらは禁煙補助薬です)
初めて禁煙外来をご利用する方、前回のチャレンジから1年以上が経過している方には、保険が適用されます。
※禁煙を達成するには「たばこをやめる」という強い決意が必要です。
また、これらの薬で内服・貼付することによる副作用などもいくつかありますので詳しくは、一度外来受診して頂ければご説明させて頂きます。

チャンピックス

ヘルスケア業界のリーディングカンパニー「ファイザー」が製造する、飲むタイプのお薬です。
最初の1週間は喫煙を継続しながらチャンピックスを服用、その後は禁煙しながらチャンピックスを服用するという、計12週間のスケジュールが構成されています。

チャンピックスの効果
  • ニコチン切れの症状を緩和
    ニコチン受容体に対し、これまで喫煙時に結合していたニコチンではなく、チャンピックスを結合させることで、ニコチンが切れたときのイライラや不安を解消します。
  • 喫煙時に満足を感じにくくする
    通常、喫煙時にはニコチン受容体にニコチンが結びついて快感を覚えます。チャンピックス服用中は、ニコチン受容体にチャンピックスの成分が結合しているため、喫煙してしまった場合にも、満足感が得られないようになります。

ニコチンパッチ

身体にパッチを貼るだけで、禁煙時のイライラ・不安を抑制することができます。
8~12週間のスケジュールで、計画的に禁煙を目指します。

ニコチンパッチの効果
  • 禁煙中の症状を緩和
    パッチから一定量のニコチンが放出されており、タバコを吸わない時間のイライラや不安を緩和します。
    ※タバコを不味く感じたり、おいしく感じないといった効果はありません。

禁煙の成功で、よくあるご感想

身体への負担が減るのはもちろん、他にもたくさんの「いいこと」が待っています。禁煙を続けるほど、実感できます。

  • 咳、たんが減った。
  • 呼吸が楽になった。
  • 息切れしなくなった。
  • 寝起きが気持ち良いものになった、口内のねばつきがなくなった。
  • 肩こりが改善した。
  • 食べ物をおいしく感じるようになった。
  • 食欲が出た。
  • 肌がきれいになってお化粧の乗りが良くなった。
  • 口臭を気にしなくてよくなった。
  • 歯磨きの時のえづきがなくなった。
  • 衣服、部屋のタバコのにおいを気にしなくてよくなった。
  • タバコ代で他のものが買えるため生活に彩りが出た。
  • 他のことについても、やればできるという自信がついた。
  • 喫煙所を探す時間がなくなった。
  • 喫煙のできる飲食店を選ぶ必要がなくなった。
禁煙失敗を防ぐためにできること
  • 一生禁煙、と考えると気が重くなります。今日一日を乗り切るという気持ちを保ちましょう。
  • もう大丈夫、と自己判断せず、12週間の治療期間、チャンピックスの服用を続けましょう。
  • 辛いときは、医師に相談しましょう。
  • お酒の席は、タバコの強い誘惑があります。治療期間中は、できるだけ避けましょう。
  • 深呼吸、歯磨き、水を飲むことなどで、吸いたい気持ちを抑えられます。
  • 禁煙中の努力を思い出しましょう。
  • 「吸ってしまうと、またこの禁煙の辛さを味わわなければならない」と考えましょう。
TEL:0798-23-6755
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